これから小学校受験を考えようという方から「○○学院はファミリーでないと難しいとお聞きしたのですが?」とか「○△学園にご縁はまったくないのですが、合格の可能性はあるのでしょうか?」というご質問を立て続けに受けました。私学の入試前の受験校決定の際にも、似たようなご質問がいくつかありました。また、私は間違っても口にしませんが、「あそこは縁故枠で一杯だった」「ファミリーでなかったので、合格できなかったんですよ」などと、ご縁がなかった方を慰めている幼児教室の先生や受験仲間のお母様のこともお聞きします。
これらの噂について、考えてみたいと思います。
まず、その場しのぎの慰めの言葉としては、いい言葉ですね。「ご家庭・本人の努力や能力が足りなかった」とおっしゃるより、遥かにすばらしい言葉ですよね。いわれた方もなんとなく納得しやすいですよね。でも、できればもっと前向きの言葉で慰めていただきたいと思いますが…。しかし、つまらない噂の種ですよね。
さて、噂は真実なのでしょうか。 私学の先生方から「教え子のお子さんや在校生の弟や妹が受験した場合、なるべくなら合格させてあげたい」という声はお聞きしたことがあります。人間として当然のお気持ちだと思います。一方、「小学校の校長としては、なるべく優秀な子供を入学させて学校の格を上げていきたい」という声もお聞きします。これも当然のことと思います。また、「うちの場合、様々な推薦状をお持ちの方が定員の3倍くらいになりますよ、目を通すだけのものが多いですけどね」というお話を伺ったこともあります。別の先生に「たくさんの推薦状がきますけど、本当に考慮しなければいけないのは5・6通です」というお話も伺ったこともあります。どちらも真実だと思います。
ここで、私学が小学校入試でご家庭に求めている事は何かを考えましょう。
1つ目は、その学校の建学の精神や教育方針・方法をよく理解していただいて、賛同してくださっているご家庭かどうかです。2つ目は、それに合っているお子さんかどうかです。受験準備前から、ファミリーの方は、1つ目はまず◎です。2つ目はそのようなお子さんに育てやすい家庭環境にあります。さらに、“親や上の子と同じ学校に行かせたい”という志望動機の方は、その学校に合わせた準備をしっかりなさいます。私の知る限り、上のお子さんのときより手抜きをなさっておられる方は、ほとんどいらっしゃいません。
ですから、ファミリーだから合格するのでなく、ファミリーだから合格への努力を、むだ無くしっかりなさって、その結果、合格なさる方が多いのだと思います。
ただ、ファミリーの方も、初めからファミリーなわけではありません。お父様・お母様やお兄さん・お姉さんの受験時は、ほとんどの場合、初めての受験です。色々研究し試行錯誤を繰り返しながら、合格を勝ちとられたわけです。 一方、何の縁故も無い方もたくさん合格なさっておられます。ですから、どこの学校も補欠が必要なわけだし、実際に2桁の繰り上げがなされているのです。何らかの縁故の方で入試前から決まっているのなら、補欠は必要ありません。 これらのことをよく考えて、これから受験に向かわれる方も、ファミリーの方に負けないような、強い意志と研究心をお持ちになって、ご家庭なりに受験態勢を整えて、頑張ってみてください。つまらない噂はたくさんあります。それらの噂と正しい情報を見極める目をお持ちになり、自信を持って、前向きに小学校入試に向き合ってください。
(2003年12月1日)
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